準備期間をあえて「見守った」理由
髙木:東京での研修を終え、鹿児島に戻ってからのオープン準備はいかがでしたか?
丸田:正直、パニックでした(笑)。内装のこだわりが強すぎて業者さんとのやり取りが遅れ、融資の手続きも後手に回ってしまって……。最終的に青山さんが的確なアドバイスと修正を入れてくださらなければ、オープンに間に合っていなかったのは事実です。
青山:あえて最初は見守るスタンスを取っていました。そして、オープン日から逆算して介入するタイミングは考えていました。丸田君には自分のスタジオとして経験を積んでほしかったし、地方特有の「横の繋がり」を大切にしてほしかった。経営者として、最初から正解を教えるのではなく、自分で答えを出すプロセスを経験してほしかったんです。
【オープン初月】28件の体験予約と「提案力」の壁
髙木:2025年4月、ついにオープン。初月から体験レッスンが28件と、素晴らしいスタートでしたね。

丸田:本部の集客サポートのおかげで、最高のスタートが切れました。ただ、当時は「クロージング(入会提案)」が苦手で……。病院勤務が長かった分、お客様に「通い方」を提案することに引け目を感じていたんです。
青山:そこで僕が伝えたのは「売り込むのではなく、プロとして体の状態を正直に伝える責任がある」ということ。
丸田:その言葉で吹っ切れました。「今の状態なら週に○回通わないと目標は達成できません」と、プロの視点でハッキリ伝えるようにした結果、お客様の通う頻度が増え、信頼関係も深まっていきました。
【オープン2ヶ月】売上70万超え。油断が生んだ「モチベーションの罠」
髙木:5月には売上が70万円を突破し、レッスンも月70本を超えました。順風満帆に見えますが、この時期に「モチベーションが上がらない」と青山さんに相談されたとか?
丸田:はい……今思うと、少し上手くいきすぎて調子に乗っていました(笑)。集客も順調で、心のどこかに「病院勤務時代の甘え」が残っていたんだと思います。

青山:丸田君がそれを口にできたのは、僕を信頼してくれている証拠だと思ってポジティブに捉えていました。でも、「経営者がそれを口にしてはいけない」という自覚を持ってもらうきっかけにはなりましたね。
【オープン3ヶ月〜5ヶ月】初のスタッフ採用と課題
髙木:オープン3ヶ月目には鹿児島店で初めてのスタッフがデビューしましたね。
丸田:スタッフ教育には本当に悩みました。同じ理学療法士として彼の技術を尊重したい反面、&aとしてのクオリティをどう担保するか。最終的には、お客様の反応の差を目の当たりにすることで、彼自身から「教えてほしい」と言ってもらえる関係を築けましたが、教育の難しさを痛感した時期です。
青山:数字を見ると、この時期は売上が横ばいなのに、契約しているが通っていない方が出始めていました。7月に退会者が出たのは、お客様への細やかなケアが疎かになっていたサインです。
丸田:まさにその通りでした。青山さんに相談して、LINEでのフォローや声かけを徹底するように切り替えました。その結果、退会者は出ても、稼働しているお客様のレッスン本数は100本を超え、スタジオに活気が戻ってきたんです。
【オープン半年】悲願の「月商100万円」達成
髙木:オープン5ヶ月目は売上が横ばいで、丸田さんが少しモヤモヤしていた時期でしたね。
丸田:そうですね。数字が伸び悩み、自分の力不足に焦りを感じていました。
青山:フィットネス業界では、夏が正念場。秋に向けて必ずまた波が来るというデータがあったので「今は耐える時だ」と伝えていました。
髙木:そしてオープン半年、ついに目標だった月商100万円を突破されました!
丸田:本当に嬉しかったです!達成した瞬間、すぐに青山さんに電話しました。「直接伝えたかったです!」って(笑)。
青山:地方でも「体験レッスンを安売りしない」という&aのスタイルが通用した。これは丸田君の提供するレッスンの質と、地道な口コミの積み重ねの結果。僕にとっても大きな励みになりました。
夢だったプロ野球選手へのサポート

髙木:オープン8ヶ月目には青山さんが&a鹿児島店で養成コースを開催し、そこで驚きの展開がありました。青山さんが担当するプロ野球選手の自主トレサポートを、丸田さんに託したんですよね。
青山:半年以上、自分の力で店舗を守り抜いた丸田君を見て「今の人間力なら、トップアスリートとも対等に渡り合える」と確信したんです。
丸田:12月から1月にかけて、熊本での自主トレに計10日間帯同させていただきました。現場で選手と向き合った瞬間、「あ、自分はスポーツに携わりたくて理学療法士になったんだ」という初心を鮮烈に思い出しました。

青山:野球の動作解析については僕が経験してきたことをアドバイスしましたが、丸田君が理学療法士の視点で「歩き方や姿勢」から徹底的に見直したことで、選手からも「ピッチングが変わった」と信頼を得ていた。FCだからこそできた、最高の連携だったと思います。
「覚醒」1日10本のレッスンが教えてくれたこと
髙木:2月にはさらにステップアップし、1日のレッスン数が10本に達する日もありました。
丸田:正直、最初はきつかったです。でも、10本こなした時にふと「あれ、後半の方がセッションの質が上がっているぞ?」と気づく瞬間があって。思わず青山さんに「覚醒しました!」と電話しました(笑)。
青山:ようこそ、こちらの世界へ(笑)。「質を求めたいから本数を絞る」という人もいますが、僕は逆だと思っています。圧倒的な本数をこなすからこそ見える景色があり、出てくる言葉がある。その経験値は一生の財産になります。
【1周年】涙と共に振り返る「家族と守り抜いた1年」

髙木:12ヶ月目には売上が140万円に到達。この1年、&aのフランチャイズとして走り抜けてみて、今どんな想いですか?
丸田:……(沈黙)。すいません、今、急に涙が出てきそうで。……沖縄キャンプにも帯同させていただいた際、選手から「ご家族も一緒に」と言っていただいたんです。1年間、ワンオペで家庭を守って支えてくれた妻と子供に、あの景色を見せられたことが何より嬉しかった。
青山:それは丸田君の人間力の賜物だよ。
丸田:1人で独立していたら、今頃家族を路頭に迷わせていたかもしれません。「&aという良い会社に出会えたね」と周囲からも認められ、お客様からも「生活の一部です」という言葉をいただけるようになった。この1年で得た価値観の変化は、前の職場にいたら絶対に得られなかった財産です。
青山:経営者は孤独だと言われますが、東京に来れば仲間がいる。1人じゃないと感じてもらいながら、これからも共に歩んでいきたいですね。
