要約:ピラティスの呼吸法(胸式呼吸)が身につかない理由
ピラティスの呼吸法「ラテラル呼吸」がうまくできない、続かないと感じるのは、呼吸の「やり方」の問題ではないケースがほとんどです。巻き肩や猫背で胸郭の動きが硬くなっていたり、呼吸のたびに肩や首がすくむ代償動作が起きていたりすることが、呼吸が浅いまま変わらない本当の原因です。特に仕事が忙しい方やデスクワーク中心の方は、この傾向が強く出やすいといわれています。

呼吸法を教わって練習しても、なんだかうまくできている気がしない…そんな経験はありませんか?
それは呼吸の技術ではなく、身体の使い方のクセが関係しているかもしれません。まずは仕組みから見ていきましょう!
「ピラティスは呼吸が大事」とよく言われますが、なぜ大事なのか、どうすればできるようになるのかまで理解している方は多くありません。実際には、呼吸は姿勢や身体の使い方と切り離せない関係にあり、呼吸だけを単独で練習してもうまくいかないことがほとんどです。
呼吸が浅いままだと、ピラティスのエクササイズ効果が半減するだけでなく、肩こりや集中力の低下など日常のコンディションにも影響します。この記事では、ピラティス独自の呼吸法の仕組みと、多くの方が呼吸法でつまずく本当の原因、そして呼吸が変わることで起こる身体の変化について、身体の使い方(動作パターン)の視点から解説します。
本記事の重要トピック
- ピラティスの呼吸法「ラテラル呼吸」の仕組みとヨガとの違い
- 呼吸と姿勢制御をつなぐ、横隔膜の「二重の役割」という科学的根拠
- 呼吸法が身につかない本当の原因:姿勢のクセと呼吸の代償動作
- 正しい呼吸が身につくことで起こる身体の変化
目次
ピラティスの呼吸法「ラテラル呼吸」とは?ヨガとの違いから紐解く
ピラティスの呼吸法は「ラテラル呼吸(胸式呼吸)」と呼ばれ、お腹をふくらませずに肋骨を横・後ろ方向に広げながら鼻から息を吸い込むのが特徴です。お腹まわりは軽く引き締めた状態を保ったまま、胸郭だけを広げていくイメージで行います。「深い呼吸=お腹を大きく動かす呼吸」というイメージを持っている方も多いため、まずはヨガの腹式呼吸との違いを整理しておきましょう。
目的も効果も異なる呼吸法であるため、「腹式呼吸のほうが深そう」というイメージだけでピラティス中も無意識にお腹をふくらませてしまうと、かえって体幹が不安定になり、エクササイズの効果を十分に得られなくなります。

なぜこの呼吸が必要なのか。横隔膜が担う「もう一つの役割」
呼吸筋の中心である横隔膜は、呼吸のための筋肉であると同時に、体幹の安定性を保つ「姿勢筋」としての役割も担っています。呼吸が浅く、横隔膜が本来の動きをできていない状態では、体幹を支える力そのものが不足しやすくなります。ラテラル呼吸を身体に覚えさせることは、単なる呼吸練習ではなく、体幹の土台を作り直す作業でもあるのです。
呼吸法を練習しても続かないのはなぜ?姿勢のクセと呼吸の代償動作
「呼吸のやり方は理解したはずなのに、レッスンが終わるとまた元の浅い呼吸に戻ってしまう」という声はよく聞かれます。これは意識や練習量の問題ではなく、呼吸を妨げる身体側の要因が残ったままになっていることがほとんどです。レッスンの現場でよく見られるのは、次のような連鎖です。
①
巻き肩・猫背で胸郭が硬くなる
②
肩・首の呼吸補助筋に頼って息を吸う
③
浅い呼吸が習慣として定着する
それぞれの段階で何が起きているのか、詳しく見ていきましょう。
巻き肩・猫背があると、胸郭がそもそも広がらない
巻き肩や猫背の姿勢が定着していると、胸まわりの筋肉が縮こまり、肋骨自体の可動域が狭くなります。この状態でいくら「肋骨を横に広げて」と意識しても、物理的に胸郭が広がる余地がないため、呼吸は浅いまま変わりません。呼吸法の練習より先に、胸郭の可動性を取り戻す必要があるケースは少なくないのです。
💡 あわせて読みたい:猫背と胸郭の動きの関係
巻き肩・猫背が呼吸に与える影響をより詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
呼吸のたびに肩や首がすくむ「呼吸補助筋」への依存
本来、静かに呼吸をしているときは横隔膜や肋間筋が主に働きます。しかし胸郭の動きが乏しい方や呼吸が浅い状態が長く続いている方は、代わりに首や肩まわりの「呼吸補助筋」を過剰に使って息を吸おうとする代償動作が起こりやすくなります。呼吸のたびに肩が上がったり、首すじに力が入ったりするのはこのサインです。呼吸のたびに首・肩がすくむクセは、肩こりや首こりが慢性化する一因にもなります。
腹式呼吸のクセが強く、インナーマッスルが使えていない
普段の呼吸が腹式呼吸に偏っている方は、ピラティス中も無意識にお腹をふくらませてしまい、腹横筋などのインナーマッスルがうまく働かないまま動作を続けてしまうことがあります。呼吸の入り口でこのクセが出ていると、その後のエクササイズ全体で体幹の安定が得られにくくなります。
忙しい人・デスクワーク中心の人ほど呼吸が浅くなりやすい
レッスンの現場では、仕事が忙しい方やデスクワーク中心の方ほど、呼吸が浅くなっている傾向がよく見られます。長時間同じ姿勢で画面に向かい続けることで胸郭の動きが制限され、それに加えて時間や気持ちに余裕がない状態が続くと、呼吸はさらに浅く・速くなりがちです。こうした方に呼吸を促すと、上記①〜③のパターンのいずれか、あるいは複数が組み合わさって現れることが多く、一人ひとり原因の組み合わせが異なります。だからこそ、呼吸法は画一的な手順として教えるのではなく、その方の姿勢や動作のクセに合わせて調整していくことが欠かせません。
⚠ やりがちなNG呼吸練習
胸を大きく張って無理に肋骨を広げようとすると、首や肩の力みがかえって強くなり、呼吸補助筋への依存を悪化させてしまうことがあります。大切なのは力を入れることではなく、動きを妨げている硬さそのものを緩めることです。
正しい呼吸が身につくと、身体はここまで変わる
呼吸のクセが整理されると、単に「深呼吸ができるようになる」以上の変化が身体に起こります。
- 体幹が安定しやすくなる:横隔膜が本来の姿勢筋としての役割を発揮しやすくなり、動作中の軸がぶれにくくなる
- 肩こり・首こりが軽減しやすい:呼吸補助筋への依存が減り、常に力んでいた首・肩の緊張がほどける
- 集中力が続きやすくなる:胸郭が広がることで取り込める酸素量が増え、頭がすっきりしやすくなる
- 姿勢そのものが安定してくる:胸郭の可動性が戻ることで、猫背や巻き肩の改善にもつながりやすくなる
呼吸と体幹の関係をより深く知りたい方は、体幹トレーニングとしてのピラティスについて解説した記事もあわせてご覧ください。
💡 あわせて読みたい:呼吸とインナーマッスル・体幹の関係
呼吸によって鍛えられる「本物の体幹」について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
よくある質問
Q. 呼吸法だけを自宅で練習すれば身につきますか?
呼吸のやり方自体は自宅でも練習できますが、胸郭の硬さや呼吸補助筋への依存といった身体側の制限が残っていると、感覚だけではなかなか変化を感じにくいことがあります。まずはご自身の胸郭がどのくらい動いているか、動作分析を通じて把握することをおすすめします。
Q. 呼吸が浅いのは体質だと思っていましたが、変えられますか?
体質ではなく、姿勢や身体の使い方のクセによって呼吸が浅くなっているケースがほとんどです。胸郭の動きを取り戻していくことで、呼吸そのものが徐々に深くなっていく方が多く見られます。
Q. 呼吸法さえマスターすれば、姿勢の悩みは解決しますか?
呼吸は姿勢改善の重要な要素のひとつですが、それだけで完結するものではありません。呼吸・胸郭の動き・姿勢を支えるインナーマッスルは互いに影響し合っているため、全体のバランスを見ながら取り組んでいくことが根本的な改善につながります。
呼吸から姿勢を変えるなら、PILATES YOGA &aが選ばれる理由
PILATES YOGA &aは、自由が丘・代々木上原・北参道・成城学園前・武蔵小杉・鹿児島の6店舗を展開するマシンピラティス専門のパーソナルスタジオです。2018年の創業から8年間、流行に左右されることなく「身体の本質」を追求してきました。呼吸の浅さも、その背景にある胸郭の硬さや代償動作も、原因は人によって異なります。
多様な専門性を持つスタッフ
理学療法士・柔道整復師・鍼灸師などの資格を持つスタッフも在籍。呼吸や胸郭の状態に応じて専門知識を活かします
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デスクワークや忙しさで呼吸が浅くなっている方こそ、一人で「正しい呼吸法」を探すよりも、まず自分の胸郭や姿勢のクセを知ることから始めるのが近道です。PILATES YOGA &aでは、その方に合った呼吸へのアプローチを一緒に見つけていきます。


